紡績とは
紡績とは、原料の短繊維(綿、羊毛、麻など)を 糸にすることです。
紡は撚り合わせること、績は引き伸ばすことを意味しており、
紡績することによって作られた糸は紡績糸と呼ばれています。
物理的には極めて難しい技術
紡績、それは 空気をコントロールする技術
物理学的には極めて難しい技術とされており、
綿の体積内に含まれる繊維の割合は10%未満と極微量で、
大半が空気で構成されています。複雑に絡まった繊維1本1本を平行に並べ、
細く引き伸ばし、撚りをかけていく技術こそが紡績技術です。
生地の個性は糸で決まる。
生地の90%は糸で構成されている。
原料の組合せ、糸の作り方で生地の格・個性が決まります。
奥の深い繊維の世界をご案内します。
綿から生地が出来るまで。
紡績の工程をご紹介します。糸が生産される全貌をご覧ください。
原綿
気象条件によって出来栄え、収穫量は大きく左右される綿。綿の品質は、
グレード(色合・不純物の有無・ネップ等の有無)、
ステープル(繊維の長さ)
キャラクター(成熟度〈せいじゅくど〉、強力〈きょうりょく〉、均整度〈きんせいど〉等)によって決まります。
綿作地によって綿自体にそれぞれの個性を持っており、その地の気候、水、風土、農家の技術によってその地独特の風合いを醸し出します。
世界の綿作地から良質の物を厳選し綿が輸入されます。
開俵(かいひょう)
輸出用に硬く圧縮された綿は糸にする前に高温多湿の部屋で一昼夜寝かせます。
濡れた髪にくし櫛が通りやすい事と同じ原理で綿に適正な水分と空気を与えてやることにより本来の綿の姿へと復元し紡績がしやすくなります。
十分な水分と空気を得た綿は約4倍の大きさまでに姿を変えます。
混打綿(こんだめん)
それぞれの俵のバラツキを均一にするため多俵の綿から綿を採取し、綿の中に存在する葉カス、種皮(しゅひ)、枝屑(えだくず)を取り除きます。
実は綿は細分化していくと
綿→綿塊(めんかい)→タフト→繊維となり、
この工程では大きな針で綿を叩くことによりタフトにまで綿を細分化します。
梳綿(りゅうめん)
タフトにまで細分化された綿を繊維にまで細分化します。
ここで繊維に絡んでいる細かい葉カスや糸にならない短い繊維を取り除き、複雑に絡んでいる繊維を細かい櫛によって一定方向に揃え紐状に束ねます。
紡績の品質の8割は梳綿(りゅうめん)で決まるといわれるほど、重要な工程です。
この機械の状態を見れば、その会社の格、生産している糸の品質程度も糸見ずして分かると言われています。
この機械のメンテナンスに関わる者は、熟年を要しカードマスターという呼び名が出来たほどです。
練条(れんじょう)
紐状に束ねられた繊維束(せんいそく)を幾重にも重ね合わせ、細く引っ張りさらに繊維束内(せんいそくない)の繊維の方向を平行にしていきます。
ここで十分に平行度を上げなければ、糸になった時に太細、ムラになってしまうため均一な繊維束を作る必要があります。
粗紡(そぼう)
更に繊維束(せんいそく)を細く引っ張り、平行度を上げると共に持ち運びやすいパッケージにまで巻き取ります。
精紡(せいぼう)
やっと繊維束(せんいそく)が糸として誕生する工程です。
更に細く引っ張り、撚りを掛けていきます。
この撚りが強いと強度が増し、締まった糸になり生地にシャリミが出ます。反対に撚りが甘いと強度が弱く生地が柔らかく仕上がります。
糸の風合いは原料である綿の持つ個性と太さ、撚りの強弱によって決まります。
仕上げ(しあげ)
紡績工場は綿との戦いの場と称されるとおり、工場内の空気を常に循環させておかなければ、大気中に繊維が浮遊し、思いもよらない所に堆積(たいせき)します。
なかには浮遊している繊維や堆積した繊維が糸の中に混入することもあります。
この工程で欠点を除去し、お客様が使いやすいパッケージに巻き上げます。
巻き上げられるパッケージの固さ、巻きの不良、残存欠点に細心の注意を払い、編み機に掛けられる糸には、編機内で糸が滑りやすいようにワックス(蝋)を塗り巻き上げていきます。
染色
数万色あるカラーサンプルから色を選定し、素材の風合いを殺さない温度、時間管理をしながら、糸を染めていきます。
編
それぞれの色に染められた糸は、編み機にかけられ一定のテンションを保ちながら編み下げられて行きます。
編み下がった直後の生地は筒状になっており、編み下がった後に片方を切り一枚の生地として仕上がります。
加工・検査
編み機に掛けられる糸にはワックス(蝋)が塗られており、もちろん編み下げられた生地にもワックス(蝋)が残っています、また生産中に付いた汚れなどを落とす為に洗いに掛けます。
洗いに掛けられた生地にあらゆる機能(形態安定、シルケット、起毛等)を付加していくのもこの工程です。
生地を熱処理によりセットし生地の完成となります。
そんなタツボーオリジナルたちの顔ぶれ。